目次
■動画字幕ファイルの重要性と活用法
動画コンテンツがあふれる現代、字幕の重要性がますます高まっています。
聴覚に障がいのある人々への情報アクセスの確保はもちろん、カフェや電車などの音を出せない環境での視聴、外国語の学習、さらにはSEO対策まで、字幕は動画の価値を大幅に向上させる要素です。
■字幕ファイルの基本と役割
字幕ファイルとは、動画の音声を文字起こししたテキストと、字幕を表示する時間を指定するコードと組合わせたテキストファイルです。
一般的に「.SRT」拡張子で保存されます。
字幕ファイルは、動画ファイルやYouTubeなどのオンラインビデオプレーヤーと連携して、字幕表示をサポートする役割を持っています。
たとえば、字幕ファイルをビデオと同じビデオライブラリフォルダーに保存し、ファイル名をビデオの名前と一致させることで、ビデオ再生中に自動的に字幕が表示されるようになります。
■SRTファイルとは?
「SRTファイル」は、「SubRip」という字幕抽出ソフトに由来するファイル形式で、動画編集ソフトで字幕を作成・編集する際に広く利用されています。
SRTファイルには「いつ、字幕を表示するかを指定するための時間」と「表示する文章」の2種類の情報が含まれています。
記述フォーマットは決まっており、パソコンに標準装備されているテキストエディタ(Windowsであれば「メモ帳」、Macなら「テキストエディット」)を使って、SRTファイルの作成や編集が行えます。
保存時には、「.srt」の拡張子を付けてください。
■SRT字幕ファイルを作成する重要性と5つのメリット
字幕が重要視される理由はさまざまです。
特にメリットとして挙げられる5つを紹介します。
1.アクセシビリティの向上
字幕は、耳が不自由な方や騒音環境での視聴が必要な方だけでなく、視覚障害者や学習障害者、高齢者、外国人など、多様な視聴者にとって重要です。
音声情報を文字で補完するだけでなく、内容の理解を深めたり、外国語学習を支援したり、集中力を高めたりするなど、視聴体験を向上させる様々な役割を果たします。
2021年7月1日に改正された障害者差別解消法によって、民間事業者に対して、障害のある人が情報やサービスを利用する際に不利益が生じないよう、合理的配慮の提供が義務化され、2024年4月1日より全面施行されています。
このように今後もより字幕の持つ役割が大きくなっていくと考えられます。
参考:
・ 障害者差別解消法とは
・ 障害者差別解消法の改正 (合理的配慮の提供義務)(2021年):https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2021/12954.html
2.SEO効果の向上
動画に字幕ファイルを追加するとSEO対策にも効果的だといわれています。
検索エンジンは、動画の内容を直接理解することができません。しかし、SRT字幕ファイルに含まれるテキスト情報は、検索エンジンが動画の内容を理解する手助けとなり、結果としてSEOにも良い効果が生まれます。
企業の場合においても、例えば以下のような事例において自社動画コンテンツにSRT字幕ファイルを追加することが効果的です。
- 企業紹介、製品紹介動画:企業や製品の魅力を分かりやすく伝え、顧客獲得やブランディングに貢献します。字幕の追加は、検索エンジン最適化(SEO)にも効果的です。
- 教育現場:教材動画やオンライン授業に字幕を付けることで、学習効果を高め、多様な学習ニーズに対応できます。
特に、YouTubeなどの動画共有プラットフォームでは、字幕がSEOに与える影響は大きいです。字幕を追加することで、動画の視聴者層を広げ、より多くのアクセスを獲得できる可能性があります。
2.言語の壁を越える力
使用言語が異なる視聴者に向けてコンテンツを提供する際に、字幕は非常に有効です。
例えば日本語の映画を英語圏の視聴者が楽しむときに、英語字幕があれば内容をスムーズに理解できるでしょう。
3.語学学習ツールとして有用
動画を見ながら字幕を読むことで、新しい単語やフレーズを学ぶ手助けとなります。
特に映画やドラマの字幕は、日常会話の表現を学ぶのに最適です。
また、騒音がある環境や、深夜などで大きな音を出せない状況でも、字幕があれば内容を理解することができます。
4.映像だけでは把握しきれない情報の補助
例えば、会話の中で使われた専門用語や略語の意味を字幕で補足することで、視聴者の理解が深まります。
また、トークでは十分に伝えられなかった情報も、字幕で追加してフォローすることで情報量がより豊富になります。
5.動画のリズムを整える
例えば、面白い発言を字幕で強調して、視聴者の興味を引きつけることができます。
会話の内容に対して、三者の視点からツッコミを入れるといった字幕の使い方も効果的です。
テレビのバラエティ番組などでは、字幕を絶妙なタイミングで表示して、視聴者を飽きさせない演出が行われています。
特にバラエティ番組からは、字幕を用いたユニークな演出アイデアを多く得られるでしょう。
日本語特有の言い回しをわかりやすく説明したり、笑いどころを強調したりすれば、自動翻訳の字幕だけではカバーしきれない情報も伝えられます。
■SRTファイルを作成する3つの方法
SRTファイルの作成には、主に3つの方法があります。
- ・「テキストデータ」からSRTファイルを作成
- ・「動画編集ソフト」からSRTファイルを自動作成
- ・「字幕作成サービス」を活用する
以下で詳しく解説します。
1.「テキストデータ」からSRTファイルを作成
動画のセリフやナレーションなどの音声情報が既にテキスト形式で用意されている場合は、それぞれのセリフに対応する表示時間情報を追加することで、SRTファイルとして保存できます。
字幕番号
表示開始時間 –> 表示終了時間
字幕テキスト
字幕のテキストが用意されておらずSRTファイルを作成する場合は、テキストエディタソフトを使用して、字幕情報を入力します。
例えば、
1
00:00:00,000 –> 00:00:05,000
字幕テキスト1行目
字幕テキスト2行目
2
00:00:05,000 –> 00:00:10,000
字幕テキスト1行目
という風になります。
- 1行目の数字は、字幕の番号
- 2行目は字幕を入れる時間を指示しており、字幕の表示開始時間と終了時間(時:分:秒,ミリ秒)
- 3行目は字幕のテキストとなります。
これを、字幕を入れるシーンごとに繰り返していきます。字幕ブロックと次の字幕ブロックの間に必ず改行を入れて一行あけてください。改行を入れないと、字幕が正しく表示されません。
SRTファイルの編集を終えたら、「名前を付けて保存」します。ファイル名末尾には「.srt」拡張子をつけます。文字コードは「UTF-8」に設定します。
2.「動画編集ソフト」からSRTファイルを自動作成
多くの動画編集ソフトには、字幕作成機能が搭載されています。
テキストデータを読み込み、表示タイミングを調整しながらSRTファイルを作成できるため、動画編集時に高品質な字幕ファイルを作成することが可能です。
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3.「字幕作成サービス」を活用する。動画データを送るだけでOK!
多くの「文字起こしサービス」では、字幕作成サービスを提供していたり、文字起こしデータと字幕ファイルデータを納品してくれるオプションが利用できます。
ツールやアプリの購入や使い方を覚えたり、タイミングを調整したりする手間が大幅に削減できるメリットがあります。
動画データを送信するだけでSRTファイルの作成と文字起こしに対応できるので、自社動画コンテンツのSEOやアクセシビリティ向上の目的などの場合は検討して見てください。
「WITH TEAM 文字起こし」でも、SRTファイル作成を対応しております。お見積りの際に、「SRTファイル」作成の旨をお伝えください。
※複雑な指示や高度な技術が求められる場合、料金に変更があったり対応できない場合がありますのでご了承ください。
■SRTファイルの使い方|web動画やYoutubeに埋め込む方法
SRTファイルは、動画に字幕を追加するための標準的なファイル形式です。Web動画やYouTube動画に字幕を追加することで、アクセシビリティ向上、SEO効果アップ、海外ユーザーへのリーチ拡大など、様々なメリットがあります。
この項目では、SRTファイルの使い方として、Web動画やYouTube動画に字幕を埋め込む具体的な方法をご紹介します。
Web動画にSRT字幕ファイルを埋め込む方法
Webサイトに動画を埋め込むには、HTML5の<video>タグと<track>要素を使用することで、SRT字幕を直接追加できます。この方法は、外部サービスやプラグインに頼らず、比較的シンプルなHTMLコードで字幕表示を実現できるのが大きなメリットです。
具体的な実装方法
HTML
<video controls>
<source src="動画ファイル.mp4" type="video/mp4">
<track src="字幕ファイル.srt" kind="subtitles" srclang="ja" label="日本語" default>
<p>お使いのブラウザは video 要素をサポートしていません。</p>
</video>
- <video>:動画を埋めこむための基本要素
- <source src>:字幕ファイルのパスと種類を指定します
- <track src>:字幕ファイルのパスを指定します
- <kind>:トラックの種類を指定します。字幕の場合は「subtitles」とします。
字幕以外にも、キャプション(captions
)や説明音声(descriptions
)、チャプター(chapters
)、メタデータ(metadata
)などの種類があります。 - <srclang>:字幕の言語コードを指定します。日本語の場合は「ja」とします。
- <label>:字幕のラベルを表示します。
- <default>:この属性があるとデフォルトで字幕が表示されます。
labelについて
srtファイルの場合、字幕のテキストと表示タイミングの情報のみを含んでおり、label属性のようなメタデータは含まれていません。したがって、SRTファイルを使用する場合、label属性はHTML側で指定する必要があります。省略した場合: label属性を省略した場合、ブラウザはデフォルトのラベルを表示します。
メリット
HTMLの標準機能を使って字幕を追加できるため、特別なプラグインや外部サービスが必要ありません。そのため、Webサイトの表示速度に影響を与えにくいです。
YouTubeなどの動画共有プラットフォームを使って埋め込む方法
YouTubeにUPした動画は、字幕を自動で生成する機能のほかに、SRTファイルをアップロードして字幕を追加することも可能です。
具体的な方法
- 1.YouTubeにログインし、メニューから動画管理ツール「YouTube Studio」を選択して編集画面を開く
- 2.左側のメニュー一覧から「字幕」の項目をクリック
- 3.過去にアップロードした動画がリスト形式で表示されるので、字幕を追加したい動画を選んでください。
- 4.「言語」のプルダウンから希望の言語を選択する
- 5.字幕の追加方法から「ファイルのアップロード」を選択する
メリット
YouTubeに動画をUPしていれば、管理画面から簡単に字幕を追加することができます。
■おすすめのSRTファイル作成・編集ツール
最後にSRTなどの字幕ファイル作成を効率化するためのツールを紹介します。
字幕を入れる際に役立つ動画編集ソフトは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較して、自分に合ったものを見つけましょう。
無料の字幕作成ツール
1.Beecut
BeeCutは、多機能なビデオ編集フリーソフトで、初心者でも使いやすい字幕作成ツールです。
Webサイトで編集するため、パソコンやスマホ、タブレットなど、さまざまなデバイスで利用可能です。
2.Vrew
VrewはAIによる自動文字起こし機能を持つ動画編集ソフトで、操作を直感的に行えるのが魅力です。
無料で利用できますが、利用制限があります。
有料の高機能ソフト
Adobe Premiere Pro
Adobe Premiere Proはプロのクリエイターに高い評価を受けているツールです。
「声のテキスト化」機能を使用すると、動画の音声を自動的に文字起こしし、字幕として追加することが可能です。
プロ仕様の高性能ソフトであるため、文字起こし機能も非常に高性能でAIを活用してビデオの読み込み時に自動で正確なトランスクリプトを生成し、言葉のリズムに合わせたキャプションを作成できます。
また、「スピーチを強調」機能により、音質を改善しバックグラウンドノイズを除去して、会話を明瞭にすることが可能です。
■動画がより見やすくなるように有効な字幕を付けよう
字幕ファイル(SRT)の重要性や作成方法、動画への追加の方法を解説しました。字幕はアクセシビリティの向上、多言語対応、SEO対策など、動画コンテンツの可能性を広げるための強力なツールです。
動画に字幕を追加することで、視聴者層の拡大やエンゲージメント向上、検索エンジンからの評価向上など、多くの効果が期待できます。
動画編集のスキルや予算に合わせて最適な方法を選び、ぜひあなたの動画にも字幕を追加してみてください。動画の価値を高め、より多くの視聴者にメッセージを届けましょう。