文字起こしとは、インタビュー、対談、講演、会議、座談会など、さまざまな場面で録音された内容を、ニーズに応じた形でテキスト化することを言います。

最近はYouTubeを始めとする動画サービスに投稿する人も多くなっており、こうした動画に字幕を付ける作業にも、「文字起こし」という作業が必要です。

※文字起こしは「書き起こし」や「音声起こし」、「テープ起こし」などとも言いますが、どれも同じ意味です。

文字起こしは、さらに求める目的によって、「けばとり」や「素起こし」、「整文」といった作業に分かれてきます。

同じ録音内容でも仕上がりに違いが出てきて、それぞれに用途が違ってくるのです。

そのため、まずは自分がほしい文字起こしの種類はどれなのか、基本的なことを理解することが必要となります。

文字起こしの種類の違いは修正度合いの差

我々の普段の会話は、文法的に正しい話し方ができているとは限りません。

そのまま美しい文章になるような話し方をする人は限られているでしょう。言い淀みや言い間違いは誰にもありますし、「あのー」や「えーと」などの意味のない言葉も頻繁に挟まります。

また、話し始めてから文章の構成を考えることもあるため、言葉の順番が不自然に入れ替わることも多々あるでしょう。

人は相手の話を推測しながら聞くため、耳で聞くだけならそのような部分も特に気になりませんが、そのまま文章化すると不自然さが明らかになります。

特に内容と関係がなく、話のテーマとしては意味のない言葉や言い間違い、また、文章が完結するまでの流れがまとまっていないといったことが案外多いことに気づくものです。

文字起こしの作業では、このような不自然な話し言葉をそのまま書き起こすこともありますし、読みやすいように文章を整えることもあります。

一口に「文字起こし」といってもいくつかの種類があり、それは目的に合わせて読みやすいように加工や修正の度合いを変えているのです。

たとえば、雑誌やウェブ上にあるインタビュー記事は、ほとんどがインタビュー音源を文字起こしする際に読みやすく整えています。

逆に、一言一言をすべて書き起こしていくことが求められる裁判記録などもあります。

正確な会話内容が必要なら「素起こし」

素起こしとは、話された内容を一言一句正確に文字に起こす方法です。

「あのー」や「えーと」などの意味のない言葉や、言い淀み、言い間違いもすべてそのまま文章化します。

そのため、素起こしの文章は「読み物」としては読みにくく、話の要点が明確に伝わるとは言い難い仕上がりとなります。

では、どうしてこうした読みづらい形のまま文章にするのでしょうか?

それは、素起こしの文章には「その場の雰囲気を正確に再現するのに役立つ」というメリットがあるからです。

「えーと」という言葉が挟まることで、話をしている人が言葉に詰まっているということが分かったり、言い淀んでいる場面があると、会話に窮しているということが分かることもあります。

こうした素起こしの特性を生かした具体的な用途としては、裁判の証拠やカウンセリングなどがあります。

裁判等のシーンでは、内容の理解のしやすさよりも会話の正確性や話し手の心情が重要になることもあります。

このように、会話の雰囲気を正確に再現したい時に採用されるのが「素起こし」という手法なのです。

「素起こし」の主な利用用途

  • 証拠書類
  • 会話分析
  • 言語研究
  • カウンセリング 等

「ケバ取り」「素起こし」「簡易整文」の例文・おすすめの利用シーンはこちら

無駄を省いて会話のイメージがつきやすい「ケバ取り」

「あのー」や「えーと」などの意味のない言葉のことを「ケバ」と呼びます。

「ケバ」というのは、木材を鋸でカットした時や、プラスチックの成型をした時、角にできる「ささくれ」のようなものです。

文字起こしにおける「ケバ取り」とは、そういった意味のない不要な言葉をカットして文字に起こす方法です。

我々が話をする時には、自分でも意識しないほどケバとなる言葉を多く使っています。

こうしたケバは会話ではそれほど気になりませんが、文字にすると会話を妨げてしまい読みにくいものです。

また、動画に字幕を入れるケースでは、字でスペースが埋まってしまい、画面が見づらくなってしまいます。

そのため、インタビューや対談、座談会、会議などの内容を理解し易くする際に、ケバ取りという書き起こしの方法がよく用いられます。

書き起こした文章を見ている人も、無駄な言葉が減りますので、読むスピードが上がるというメリットもあります。

「ケバ取り」の主な利用用途

  • インタビュー
  • 講習会
  • 討論会
  • 座談会
  • 会議 等

「ケバ取り」「素起こし」「簡易整文」の例文・おすすめの利用シーンはこちら

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素早く正確に情報チェックできる「整文」

整文とは、ケバ取りしたものをさらに読みやすく整える方法です。

ケバ取りでは、意味のない言葉を省くだけで、単語の順序や助詞の欠如、ら抜き言葉などはそのまま文字にします。

また、話の重複なども修正せずに文章化しますので、 余計な言葉は削られているとはいえ、 まだまだ読みやすいとは言い切れません。

そこで、文章としても正確に分かりやすく通じるように整えるのが「整文」という仕上げ方です。

いくつか例を挙げると、

  • 「いろんなとこに行ったけど」→「いろいろなところへ行ったけれど」
  • 「駅に行ったんですよ私、昨日」→「昨日、私は駅に行ったんですよ」

というように、文章化しても自然に読めるよう修正します。

このどちらの例も、通常の会話ではよく聞かれる話し方でしょう。

しかし、文法的には正確ではなく、紙面やWEB記事としてはこのまま載せられませんよね。

そこで、いわゆる話し言葉から書き言葉へと、より正確な文体へ修正するのです。

資料や印刷物など読みやすさを重視する媒体、そして文章としての正確さが求められるシーンに選ばれる文字起こしの方法です。

さらに、整文の中でも、より厳密に文法を考慮して修正するものと、「簡易整文」とも言われる、ある程度分かりやすく文章を修正して、読みやすさを重視したものとがあります。

「整文」の主な利用用途

  • 資料作成
  • WEBサイト掲載用の文章
  • 会報などの印刷物 等

「ケバ取り」「素起こし」「簡易整文」の例文・おすすめの利用シーンはこちら

文字起こしの種類による料金の違いとは?

このように文字起こしには、目的に応じた異なる仕上がりの種類があります。

細かく分けるとさらに多くなりますが、メインとなるのは上記の「素起こし」、「ケバ取り」、「整文」の3つです。

作業に違いがあるということで、料金にも差が出てきます。

一般的に一番単価が高くなるのが「整文」、それに続いて「素起こし」、そして「ケバ取り」という順になります。

一見すると、聞いたものをそのまま書き起こす素起こしの方が、修正しなくてはいけないケバ取りより簡単そうに見えませんか?

聞いたものをただ書き起こすだけなのに、どうしてケバ取りより素起こしの方が金額が高いの?というのは、よく耳にする疑問です。

しかし、実際に作業してみると分かるのですが、会話を完璧に再現して文字起こしするというのは、予想を超えて高度な作業なのです。

特に「えーと」などの何気なく発している言葉、言い淀んでいる部分はかなり聞き取りづらく、なんと言っているのか正確に判別するのは相当難しい場合があります。

発言者の声量や滑舌、音質によっては、聞き取りにくい箇所を何回も繰り返して再生して確認する必要があります。

このように、ケバとして削除してしまう文言を省かずに正確に書き起こす素起こしの方が時間がかかると共に、作業の慣れや効率の良さなどの技術力も求められるのです。

文字起こしサービスの料金表はこちら。WEB上で簡易見積も可能。

目的と内容に合った文字起こし方法で依頼をしよう !

改めて文字起こしとは、会議やインタビュー、動画などの音声を文字にして文章化するという作業のことです。

仕上がりの種類によって、「素起こし」、「ケバ取り」、「整文」という異なる作業を行うことになります。

素起こしは、細かな言葉や言い淀みなども含め、会話を完全に再現する仕上がりです。

ケバ取りは、そのうち「えーと」などの内容に関係のない言葉をカットする仕上がりです。

そして、書き言葉として文法的にも正確で分かりやすい内容にするのが整文です。

それぞれの仕上がりで単価も違いますので、どの種類を依頼するかを事前に決めておく必要があります。

会話の雰囲気を確認したいのか、必要な情報だけを読めれば十分なのか、と文章化する目的に応じて作業内容を決め、書き起こした文章を効率的に活用できるようにしましょう。

ここで適切な種類の書き起こしの依頼をしないと、その後の自分の作業に支障が出てしまうこともあります。

「自分の音声はどの起こし方が適切なのか?」と悩んだ場合は、文字起こし業者に用途と合わせて問い合わせをしてみるといいでしょう。