Web記事や雑誌掲載、論文・研究資料など多くの用途でインタビューが実施されていると思います。しかし、インタビュー音源は長時間になる場合がありその分多くの作業時間を必要とします。
また、インタビューの内容を全て鮮明に書き起こす必要がある場合や、要点だけをまとめる必要がある場合など用途によって適切な「文字起こしの種類」があります。
そこで本記事では
- ・インタビューを「効率的に文字起こしする」ための方法
- ・「ケバとり・素起こし」などの「文字起こしの種類」の違いや特徴
- ・精度の高い文字起こしをするためのポイントや注意点
を紹介します。
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目次
インタビューの文字起こしとその特徴とは?
インタビューの文字起こしとは、座談会や研究資料などのインタビューの音声を聞いてその内容を文字に起こす作業の事です。文字に起こす人はライターとも呼ばれます。
インタビュー中は、メモを取ったり、記録したりする作業が難しいためICレコーダーやスマホのボイスレコーダーで録音し、後から文字起こし作業を行うのが一般的です。
インタビューの内容は、ユーザー分析やリクルート用記事、研究資料用など様々でWebサイトや論文、雑誌・新聞などの出版物、Youtubeなどの動画コンテンツなどとして公開されることが一般的です。
こうしたインタビュー目的の違いに応じて、「文字起こしの手法」を変えていく必要があります。
以下では文字起こしの手法を3つご紹介します。
3種類の文字起こしの手法と違い
文字起こしには以下の3つの手法があります
- ・素起こし
- ・ケバ取り
- ・整文
内容の説明や解説するようなタイプのインタビュー音源では、話し手の感情や口調よりも、インタビューの内容そのものが重要視されます。
一方、インタビュイー(話し手)の経験や心情などを中心に聞き取りをする場合、内容はもちろんのこと、口調や感情がどのように表れているかという点にも注目することになります。
このようにインタビューを活用するためには、適切な文字起こしの手法を選択することが重要です。
「素起こし」とは
素起こしとは、話された内容を一言一句正確に文字に起こす方法です。
「あのー」や「えーと」などの意味のない言葉や、言い淀み、言い間違いもすべてそのまま文章化します。そのため、素起こしされた文章は読みにくく、要点を伝えるには向いていません。
「ケバとり」とは
「ケバ取り」とは、音声中の不要な部分をカットして文字起こしをする方法です。
「えー」「あのー」といった言い淀みや、「えっと」といった言葉の繰り返しなど、意味を持たない言葉を削除します。
「整文」とは
整文とは、ケバ取りしたものをさらに読みやすく整える方法です。
ケバ取りでは、意味のない言葉を省くだけで、単語の順序や助詞の欠如、ら抜き言葉などはそのまま文字にします。また、話の重複なども修正せずに文章化しますので、 余計な言葉は削られているとはいえ、 まだまだ読みやすいとは言い切れません。
そこで、文章としても正確に分かりやすく通じるように整えるのが「整文」という仕上げ方です。
▼こちらの記事では、【ケバ取り・素起こし・整文】の違いについてをより分かりやすく解説しています
「素起こし」の特徴と向いているインタビュー音源の種類
「素起こし」は、基本的に音源にあるすべての音声を文字に起こすというものです。
インタビューでは、「えっと」や「うーん」といった言い淀みの言葉や、「うん」「いや」といった相槌が度々含まれます。こうした、話の内容そのものには影響のない、いわば意味を持たないようなケバも含め、すべての音声を文字に起こすのが「素起こし」です。
例えば、「事件や事故の被害者、加害者にインタビュー」をするような時は、一言一句聞き逃がせません。
このような、インタビュー内容の細かな点まで記載する必要がある時によく使用されます。音源の種類によっては、ちょっとした言葉の端々や言い淀みのような言葉にも意味があるケースも存在するからです。
▼「素起こし」が向いているインタビュー
- 感情やニュアンスが重要なインタビュー:インタビュー対象者の感情の動きや微妙なニュアンスを捉えたい場合、言い淀みや間、息遣いなども重要な情報となります。素起こしではこれらの要素も記録できるため、より深い分析や解釈が可能になります。
- 詳細な記録が必要なインタビュー:裁判の証拠や学術研究など、発言内容を一言一句正確に記録する必要がある場合、素起こしが適しています。
- 話者の個性を表現したいインタビュー:インタビュー対象者の人物像や話し方を忠実に再現したい場合、口癖や言い回し、間投詞なども含めて記録する素起こしが有効です。
- 人物像を掘り下げるインタビュー:インタビュー対象者の人物像や考え方、価値観などを深く掘り下げたい場合、素起こしによって、その人の話し方や言葉選びの特徴を捉えることができます。
- 専門性の高いインタビュー: 専門用語や独特の言い回しが多いインタビューでは、正確な記録が求められます。素起こしにより、専門家同士の議論や研究内容などを忠実に再現できます。
インタビューを「素起こし」する際のポイント
事件の証拠や現場の臨場感が大事な場面では、言い淀どみが重要な意味を持つことがあります。できるだけ正確に全ての言葉を書き起こすことが重要となります。
さらに、相槌の有無や打ち方によっても、その人が肯定的なのか否定的なのかが分かります。
小さくてあまり意味を持たないように思える相槌でも、話全体の流れや雰囲気を考えるとインタビュイーの意図が見えることもありますので、細かな点にこだわりたい場合は、こうした「ケバ」も入れた方がわかりやすい場合があるのです。
素起こしをするもう一つの大きなメリットは、インタビュイーの感情や思考、性格などがそこから見えてくることがあるという点です。
たとえば、ほとんどケバがなく言い淀みをしない人であれば、話が上手で頭の回転が速い人であるというイメージができます。
逆に、「うんとねー」のような若干砕けた口調のケバが入っていると、そのインタビューの雰囲気がフランクであることをなんとなく思い浮かべることができるでしょう。
さらに、素起こしでは笑い声も起こします。
ですから、経験談を話していたり、何らかの出来事を回想していたりする場面でも、ケバや笑い声を書き起こすことで『話し手が悲しい思いをしている』『話しづらい雰囲気になっている』『とても楽しい記憶だった』などということが理解できます。
その時の感情もケバや笑い声によって表現できるというわけです。
「ケバとり」 の特徴と向いているインタビュー音源の種類
「ケバとり」とは、意味のない「ケバ」や笑い声、言い間違、言い直し、相槌、口癖などを除いて文字起こしする形式です。特に修正や加筆をすることはありません。
ケバ取りは、インタビューの内容を簡潔にまとめ、読みやすさを重視したい場合に適しています。具体的には、以下のような特徴を持つインタビュー音源に向いています。
▼「ケバとり」が向いているインタビュー
- 情報伝達がメインのインタビュー:インタビューの内容や発言者の主張が重要で、話し方の特徴や感情表現はあまり重視しない場合。
- 専門家へのインタビュー:専門的な知識や情報を分かりやすく伝えることが目的の場合、ケバ取りによって文章を簡潔にし、読者の理解を助けることができます。
- ビジネスシーンでのインタビュー:企業の代表者や社員へのインタビューなど、ビジネスシーンでのインタビューでは、無駄な情報を省き、要点を明確にするケバ取りが適しています。
- 製品・サービス紹介のインタビュー:新製品やサービスの特徴を説明するインタビューでは、情報を整理し、分かりやすく伝えるケバ取りが効果的です。
- Q&A形式のインタビュー:質問と回答が明確に分かれているインタビューでは、ケバ取りによって読みやすさを向上させることができます。
「ケバとり」した文字起こしは文章量が減るためWeb掲載記事やYoutubeなどの動画に字幕を付ける場合などにも向いています。
インタビューを「ケバとり」する際のポイント
1. 重要な情報を残す
ケバ取りを行う際には、インタビューの内容を損なわないように、重要な情報を適切に残すことが大切です。
- キーワード: インタビューの主題や重要なキーワードは、たとえ口語表現であっても残しておきましょう。
- ニュアンス: インタビュー対象者の言葉選びや言い回しには、その人の考え方や価値観が反映されています。可能な限り、元のニュアンスを保つように心がけましょう。
- 感情表現: 感情のこもった言葉や表現は、インタビューの臨場感を伝えるために重要です。ただし、過剰な表現は削除または調整しても良いでしょう。
2. 自然な文章にする
ケバ取りをした後も、文章全体が自然な流れになるように調整しましょう。
- 接続詞の追加: 文と文のつながりをスムーズにするために、接続詞を追加したり、言い換えたりする必要がある場合があります。
- 文末表現の統一: です・ます調、だ・である調など、文末表現を統一することで、文章全体にまとまりが生まれます。
- 段落分け: 適切な箇所で段落を分けることで、読みやすさが向上します。
インタビューの文字起こしで気を付ける点と注意点
インタビュー音源の文字起こしを効率的に行うための5つのポイントをご紹介します。これらのポイントを押さえることで、作業時間を短縮し、より質の高いインタビュー記事の作成に集中できるでしょう。
インタビュー環境を確認
文字起こし作業を非常に難しくさせるのが、外部の雑音です。風切り音や関係のない周りの人の話し声などが入っていると、肝心のインタビュイーの声が聞き取れなくなってしまいます。
インタビューをする場所として選ばれることが多い喫茶店ですが、BGMや周りの会話、食器のぶつかる音など、録音の妨げとなる雑音は意外に多いです。
できるだけ入り口から離れていて人が通らないところで、キッチンや通路などからの雑音が聞こえないところを選ぶようにしましょう。
インタビュー機材機器を確認
インタビューに使用するICレコーダーやボイスレコーダーにも気を配りましょう。
人の声を上手に拾い、クリアに録音してくれるものもありますが、中には周囲の音をまんべんなく拾ってしまい、メインの声がぼやけてしまう特性のレコーダーもあります。
つまり、使うレコーダーによって、聞き取りやすさはかなり変わってくるのです。
そのため、インタビューをする際には、一度手持ちのレコーダーを使って試し録音をしてから、自分で聞いてみると良いでしょう。
そして、はっきりと言葉の端々まで聞き取れるようなクリアさがあるかを確かめてみてください。
事前準備で効率アップ
実際に文字起こしを始める前に、音声ファイルを通常の1.5倍〜2倍程度の速度で聞き、全体の流れや話者の特徴、専門用語などを把握しておきましょう。事前に準備することで、スムーズに文字起こしを進めることができます。
発言の重なりを整理
複数人のインタビューでは、発言が重なる場面が出てくることがあります。ケバ取りや整文を行う場合は、重要な発言や文脈に沿った発言を選び、自然な流れになるように調整しましょう。
聞き取れない箇所は後回し
雑音や発話の重なりなどで聞き取れない箇所は、無理に聞き取ろうとせず、時間のメモだけを残して次に進みましょう。後でまとめて確認することで、作業全体の効率を上げることができます。
話者の声の特徴を把握
複数人のインタビューでは、話者の声を聞き分けることが重要です。声の高さ、話す速度、イントネーションなどの特徴を事前に把握し、メモしておきましょう。
作業の中断を最小限に
聞き取れない箇所やタイピングが追いつかない場合でも、なるべく停止や巻き戻しは避けましょう。作業の中断は集中力を途切れさせ、効率を低下させる原因になります。聞き取れない箇所はメモを取り、タイピングが難しい場合は再生速度を調整するなど、工夫しながら進めましょう。
インタビューの中身と目的に合わせた文字起こしの必要性
このように、書き起こしをする場合に使われることが多い「素起こし」と「けばとり」の間には、明確な目的の違いがあります。
インタビュー音源の書き起こしの依頼をする時には、インタビューの中身と、どのような媒体に掲載するのかということを念頭に置いて、どの文字起こしスタイルにするかを決めるようにしましょう。
大まかに言えば、会話の雰囲気やインタビュイーの心情の分析が必要となる場合、どんなに細かな点についても残しておかないといけないという場合には「素起こし」が必要となります。
話の内容が分かれば十分で、コンパクトに掲載したいということであれば「けばとり」を選びましょう。
インタビュー音源ということに限ってこうした要素を考えると、多くのケースで「けばとり」が選ばれます。
料金も安くなる傾向にありますし、後の加工もしやすいため、特に必要がないのであれば「けばとり」を選んで問題ないでしょう。