普通に生活を送っていると、裁判になるような問題にぶつかることはほとんどありませんね。
でも、時には自分では望んでもいないのに大きなトラブルが生じたり、きちんと手続きをしたりするために裁判をしないといけない事態が生じたりすることもあります。
裁判で勝つためには、いかにして有利な証拠を提出できるかがカギとなるため、いろいろな証拠を集める必要が出てきます。
その証拠の一つとして、当事者との会話を録音した音声があります。
この種の証拠は、とても有効なものとなりえますので、その取扱い方を覚えておくと裁判を有利に持って行けます。
どんなことに注意して会話を録音したらいいのか、音声を文字起こしする時のコツなどを知っておくと、より効力の強い証拠になりますよ。
■会話音声を証拠として裁判所に提出するには?
何らかの問題で裁判になった時、自分の主張の正しさを証明するためには証拠を提出しないといけません。その証拠として、関係する人の会話を録音しておくことは役に立ちます。
具体的にどんなケースで音声が証拠として使われるのか、裁判所に提出するためにはどのような点に注意すべきかを確認してみましょう。
会話が証拠として利用されることがあるケース
当事者同士のやり取り以外に明白な証拠があまりなく、文書として証拠を残していないケースでは会話音声が証拠として提出されることが多いです。
例えば、
- ・企業への脅迫電話
- ・相続に関するトラブル
- ・金銭の貸し借り
- ・不倫問題
などの場面で、会話音声を録音しておくことで、トラブル発生時の証拠として役立てることができます。また、こうしたトラブルは企業だけでなく個人でも起こってしまうことがあります。
相続についての問題を話し合っている時、相続の割合について言った言わないのトラブルになることもありますが、会話を録音しておくことで問題を避けられます。また、お金の貸し借りを文書にするのを嫌がっているケースなどで、後々金銭トラブルが生じないよう、相手の言葉を録音しておくこともできます。
音声証拠があった方が良い理由
当事者の会話を録音しておくことには、いくつかのメリットがあります。
まず、相手が会話の録音があるということを知るだけでも、主張を取りやめたり意見を和らげたりすることがあります。「そんなことは言っていない」など、自分の行動を否定していたとしても明白な証拠が出てくるわけですから、反論できなくなるというわけです。
また、裁判所に提出することができるという点でもメリットがあります。
裁判所は会話音声を確かな証拠として採用することが多く、実際に当事者の間で起こった出来事を証明したり、合意内容を確かめたりするために確認するからです。証人尋問などで実際の音声が証拠として使われることも珍しくなく、事実の認定のための強い証拠として認められているのです。
証拠になるかどうか、詳しく知りたい方は下記のページをご参考ください。
↓ ↓ ↓
パワハラやいじめの証拠集めに役立つ!強力な証拠にするレコーダー選びや録音方法
証拠音声を有効な証拠にする方法
裁判において提出される証拠はいくつかの種類に分類され、音声は「書証」という種類の証拠として扱われます。
しかし、会話音声を裁判所に提出する場合は、音声データだけでなく、文字起こしをした文書も一緒に提出する必要があります。(民事訴訟規則144条参照)つまり、会話音声を裁判所に提出する場合、音声データとして提出しても、証拠として採用されないのです。
ちなみに、裁判用の文字起こしは「反訳」と呼ばれることが多いため覚えておきましょう。
この反訳(文字起こし)には、証拠として有効なものとするためのルールがあるため注意が必要です。以下で詳しく解説します。
証拠提出用反訳(文字起こし)のルールとポイント
調停や裁判で提出するための反訳(文字起こし)にはルールがあります。
まずは、証拠の録音データは、喋っている内容をそのまま文字にする必要があります。要約はしてはいけません。そして、原則として全文を反訳(文字起こし)する必要があります。
録音データの内容をそのまま文字に起こす手法は業界では「素起こし」と呼ばれます。証拠として有効な文字起こしの起こし方は「素起こし」と覚えましょう。
また、時系列で会話を記載していくために、それぞれの発言に対してタイムコードか番号を記入し、誰が話しているかを明確にするために、発言内容の前に話者を明記するのがポイントです。
このように、誰がどんな状況で話していたのかを、第三者が見て明確にイメージ・理解できるようにすることが、裁判向けの文字起こしで注意すべき点となります。
調停や裁判の場面では心身的に余裕がないことが多いでしょうが、ルールをしっかり守るべきです。裁判官からの「心証」が良くなるかもしれません。
裁判所へ証拠を提出する方法
文字起こしした文書と録音データをCD-RやUSBメモリなどの記録媒体に保存し、裁判所に提出します。
録音データそのものを提出する場合、証拠説明書には以下の内容を記載する必要があります。
- 録音の対象者(誰と誰の会話か)
- 録音日時
- 録音場所
証拠説明書には、通常、以下の項目も記載します。
- 証拠の標目(タイトル)
- 証拠作成者(録音した人)
- 立証趣旨(何を証明するために提出するか)
上記の内容は、あらかじめ弁護士と打ち合わせをしておくとスムーズです。
■裁判所提出用の会話を録音するコツ
正確さが求められる裁判向けの文字起こし文書を作成するには、会話を録音する時から気を付ける必要があります。
録音をする時には、証拠として提出するために会話をするということを意識し、音声データを聞いて理解しやすいような録り方をすることが大事です。
そのためには、いくつかのポイントがあります。
良い録音機を選ぶ
音声を十分なボリュームで拾って、クリアな音声のまま録音するためには、良い機器を使うことが肝心です。
こうした目的にはやはり高性能のICレコーダーが最も適していて、そこにいる人たちの会話をはっきりと録音することができます。
裁判用として向いている録音機を、分かりやすくまとめましたので是非ご参考ください。
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★その他オススメ記事:文字起こし会社が選ぶ、インタビュー録音におすすめなICボイスレコーダー10選!
録音する環境を選ぶ
もちろん、状況によって環境を選べないこともありますが、できる限り音声をクリアに録音できる環境を選ぶようにしましょう。
理想的なのは、周りの雑音が聞こえない静かな部屋の中ですね。
ここまでの環境で録音するのは無理だとしても、少なくとも環境音や風切り音が入りやすい走行中の車の中や野外は避けた方が良いでしょう。
また、相手と話しやすい場所ではあるものの、喫茶店や居酒屋も会話の録音に適した場所ではありません。
近くにいる人の声が入ってしまうと、当人同士の会話なのか、関係のない人の声なのかの判別がしづらくなってしまうからです。
そして、ICレコーダーとの距離にも気を付けましょう。
相手と自分の距離をできるだけ短くすると共に、レコーダーが相手の口元に向くようにします。
もちろん、相手には気づかれないように録音したいということもあるので、かなり近いところに置くのは難しい状況になるかもしれません。
しかし、少なくともマイクの部分が何かで覆われていないことや、できるだけ相手の近くに置くことを意識しましょう。
話し方にも注意
録音する時には、意識してゆっくりと話すようにします。
また、はやる気持ちがあるのは理解できますが、心を落ち着かせて、あまり感情的にならないような話し方をするようにも心がけましょう。
冷静な話し方のほうが、声がクリアになって聞き取りやすいからです。
また、相手と会話がかぶらないためにも、必ず相手が話し終わってから話し始め、自分が話している時に相手が話し始めたら、自分が話すのを止めるといったことも意識します。
文字起こしをする際に、複数の声が重なってしまうとかなり聞き取りづらくなり判別できませんし、表記も難しくなるからです。
■文字起こしを依頼する時のコツ
上手に会話を録音できたら、それを文字起こし代行会社に依頼することになります。
その依頼の仕方にもコツがありますので、覚えておくと良いでしょう。
あらかじめ裁判用ということを伝えておくのも一つの手で、文書の形式などをそれに合わせてくれます。
その上で、以下のような点も伝えましょう。
編集はしない
文字起こし(反訳)は第三者として客観的な視点で作られるべきです。
というのも、裁判の証拠というのは主観的な見方を入れずに、誰が見ても納得できるような客観的なものでないといけないからです。
そのため、音声の内容の書き換えやカットはせず、話されている内容そのままで文字起こしをするように依頼します。
こうした編集があると分かると、裁判官の印象が悪くなりますし、最悪の場合、文字起こし書が証拠として通用しなくなってしまう可能性もあります。
話者名を表記し、誰の発言か明確に
裁判官は実際にその場にいたわけではないので、音声の文字起こしを見ても誰が話しているかという流れをつかむことができません。
そこで、それぞれの発言の前には必ず話者、つまり、誰が話したかを記載してもらうようにします。
表記はそれぞれの発言者の名前でも良いですし、A、B、Cなどにして、その説明を別にしておくという方法もあります。
あらかじめ発言者の情報を伝えておく
文字起こしを依頼する際には、裁判所提出用ということと共に、音声の中に出てくるそれぞれの発言者の立ち位置や情報などを伝えておくと、作業がスムーズかつ正確になります。
特に、依頼者に反対する立場にある人物などの情報があれば、その内容を理解しやすくなります。
また、単純に発言者の性別や年齢などを伝えることによって、誰が話しているのかの区別が付きやすくなり、作業が楽になります。
特に発言者が複数いる場合は、誰が話しているかの判別が付きづらくなりますので、リストにしてそれぞれの情報を提出すると良いでしょう。
他にも、会話に出てくる固有名詞を伝えるのも、より正確に文字起こしをしてもらえるコツです。
校正付きがベスト
裁判所提出用の証拠として文字起こしをするわけですから、正確であるということは非常に重要な条件となります。
そのため、校正を含めた文字起こしという形で依頼しましょう。
もちろん、文字起こし作業をする人もプロですから、ミスがないように最大限の努力をします。
しかし、音声が不明瞭である等の理由でミスが生じてしまう可能性があります。
そこで、複数人でチェックを行う校正というステップを入れることで、正確性を高めることができるのです。
秘密保持契約の締結
企業の内情に関わる音声を文字起こしする場合や身内同士の金銭トラブルなど、他人に知られたくない音声を依頼する時、情報の漏洩には気を遣うものですよね。
もちろん、文字起こしを行う会社は個人情報の管理を徹底していますが、さらなる安心感を得るために、秘密保持契約を結ぶという手もあります。
必要な部分だけを依頼する
裁判に使う音声データは、すべての部分が必要というわけではなく、他愛もない会話が含まれていることも多いものです。
そのため、証拠として使える部分だけを残して、後の音声は削除してから業者に渡すと良いでしょう。
もしくは、「データのうち、○○分から○○分の時間分だけを文字起こししてほしい。」と依頼することもできます。
こうすることで、必要な分だけ文字に起こして料金を安く抑えられます。
素起こしの形で依頼する
一口に文字起こしと言っても、その仕上がりの形によっていくつかの種類があり、「えー」や「まあ」といった、直接内容に関わりのない言葉を削除した起こし方や、文法の修正したり不要な言葉を削除したりして要約するものなどがあります。
しかし、裁判所提出用の文字起こしでは、編集はしない方が証拠としての効力が強くなりますので、すべての言葉をそのまま起こしてもらうようにします。
これを「素起こし」と呼びます。
文字起こし代行業者に「素起こし」と言えば、すぐに理解してもらえますので、この形式で依頼するのをおすすめします。
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■裁判所提出用の文字起こしの実績がある業者に依頼しよう
このように、講演や動画テロップなど、一般的な文字起こしと、裁判向けの文字起こしとは求められる仕様が違うことが分かりますね。
そのため、裁判向けの文字起こしの実績が豊富なプロに依頼するのが一番正確で安心です。
「WITH TEAM 文字起こし」では、裁判向けの文字起こしの経験が豊富で、確実な証拠を提出するお手伝いができます。
「通常プラン」だけではなく、ライターと校正者の2名体制でしっかりダブルチェックできる「高品質プラン」もご用意していますので、より正確な素起こしでの文字起こしも可能です。
また、情報漏えいを心配される方でも安心の秘密保持契約も結ぶことができます。
こうした安心できる質の高いサービスを利用して、裁判を有利に進められる材料を手にしましょう。
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