YouTubeでは、毎分500時間分のビデオがアップロードされています。(2022年6月時点)
参照:YouTubeをめぐる25の統計データ

このように、YouTubeの視聴ユーザーが増える一方、クリエイターや企業による動画のアップロード数も増加しています。

しかし、その一方で、自動生成される字幕の精度が悪かったり、 誤った内容が表示され動画の内容が正しく伝わらなかったり、意図しないタイミングで字幕が差し込まれ、視聴の邪魔になったりするなどの問題も生じます。

特に、企業が発信する動画では、誤った字幕はブランドイメージを損なうリスクにもつながりかねません。

そこで、YouTubeに表示される字幕を消す方法と企業やクリエイター向けに間違った字幕が生成されないようにする方法を解説します。

YouTube字幕をオン/オフする方法

YouTubeで勝手に表示される字幕の表示をオン/オフする方法は以下の通りです。

PCで変更する場合

  1. 画面右下のツールバーにある歯車アイコンをクリックします。
  2. 表示されるメニューから「字幕」を選択します。
  3. オンまたはオフを選択します。

スマートフォン・タブレットで変更する場合

  1. YouTubeアプリで動画を再生します。
  2. 画面をタップし、右上に表示される縦に並んだ3つの点のアイコンをタップします。
  3. 「字幕」を選択し、オンまたはオフを選択します。

※スマートフォンの言語設定を変更すると、自動字幕の言語も変更されます。勝手に英語字幕が表示されるような場合は、端末の設定で優先言語を確認してください。

YouTubeアカウント側で設定する場合

YouTubeアカウントの設定でも字幕の表示/非表示を変更できます。

  1. YouTubeのホーム画面右上にあるアイコンをクリックし、「設定」を選択します。
  2. 左側に表示されるメニューから「再生とパフォーマンス」を選択します。
  3. 「字幕」セクションで「字幕を常に表示する」、「自動生成された字幕を含める(利用可能な場合)」などのオプションを選択できます。

※一部のブラウザではデフォルトで字幕が表示される場合があります。その場合は、ブラウザの拡張機能やキャッシュを確認しましょう。

YouTube字幕の要性

YouTubeの字幕の需要は年々高まっています。これは、視聴環境や視聴者の多様化が一つの要因です。たとえば、電車内やカフェなど、公共の場所で動画を視聴する際、字幕があれば音を出さなくても動画を楽しむことができます。また、音声が不明瞭な動画や専門用語などの聞き慣れない言葉が頻出する動画でも、字幕があればスムーズな理解が可能です。

字幕はアクセシビリティの観点でも重要な役割を果たします。聴覚に障がいのある方や、様々な理由で聴力が衰えた方にとって、字幕は動画を楽しむために欠かせない機能です。また、外国語学習者にとっても、字幕があると動画でリスニングの練習ができます。

ただし、YouTubeの「自動字幕」は万能ではありません。企業や専門性の高いコンテンツでは、自動字幕に頼るのではなく、アップロード者自身が字幕を作成すべきでしょう。その方が情報の正確性が保たれるため、視聴者からの信頼にもつながります。たとえば、製品紹介や企業メッセージを伝える動画においても、一言一句正確に伝えられるのは、手動で作成された字幕だけが持つ強みです。

自動字幕のメリット

YouTubeの自動字幕には、動画の視聴体験を向上させるだけでなく、動画を公開する側にとっても大きな利点があります。その主なメリットは以下の3つです。

SEO効果が期待できる

自動字幕を利用すると、動画内で話されている音声が文字情報として記録されます。この文字情報は、検索エンジンが動画の内容を正確に理解するための重要な材料です。検索エンジンは動画そのものを直接解析することができませんが、字幕データがあることで動画の関連性が高まります。その結果、検索結果の順位が向上することもあるでしょう。

特に製品紹介や解説動画の場合、ターゲットとなるキーワードを含んだ字幕を用意することで視聴者に見つけてもらいやすくなり、動画の露出度や視聴回数の増加が期待できます。

視聴者維持率の向上

自動字幕があると、視聴者が動画の冒頭で内容をすぐに理解できるため、離脱率を下げる効果が期待できます。無数のコンテンツが存在する現代の環境で、一つの動画をそのまま見続けるか、それとも離脱するかは、動画が始まって数秒以内に判断されていると言っても過言ではありません。

音声しか情報がない場合、視聴を続けないとどのような動画か判断できません。そうなると、動画のターゲットであっても「興味のある動画か判断できない」と思い、短期離脱してしまう可能性が高まります。しかし字幕があれば、一時停止した状態からシークバーを操作するだけで動画の概要を文字情報として読み取ることができます。「自分が興味のある動画かどうか」を、視聴者が瞬時に判断できるようになるわけです。

また、音声のみでは伝わりづらい内容でも、字幕が補助的な役割を果たして、視聴者を引き付け続けることができます。途中で音声が聞き取りづらい場面がある動画にも有効です。

海外視聴者へのアプローチが容易になる

自動字幕は、海外の視聴者にアプローチする手段にもなります。日本語の動画に自動的に生成される英語字幕を追加するだけでも、海外からのアクセスが増えるでしょう。

YouTubeのアルゴリズムは、国内だけで視聴されている動画よりも、多くの国からアクセスがある動画をより高く評価する傾向があります。さまざまな地域の視聴者を引きつけられるコンテンツの方が、広範な人気があるとみなされ、アルゴリズム上で優先されやすいためです。海外からの視聴が多い動画は検索結果やおすすめに表示されやすくなり、さらなる再生数の増加につながる可能性が高まります。

つまり、自動字幕を設定するだけで、国内外の幅広い視聴者層にアプローチできる動画となり得るということです。

自動字幕のデメリット

自動字幕を設定しない場合、動画の視聴体験や評価に影響を与えるデメリットがいくつか考えられます。以下は、その主な3つのデメリットです。

専門用語や固有名詞の誤認識が多い

YouTube側で自動生成する自動字幕は、音声を認識して文字に変換する技術を使用していますが、その精度には限界があります。特に、専門用語や固有名詞が多く含まれる動画では、誤認識が発生しやすく、内容が正確に伝わらないリスクが高まります。

たとえば、医療、技術、法律といった分野の動画では、正しい用語の使用は視聴者の信頼を得るための前提条件です。自動生成の字幕で誤った表記が用いられると、視聴者から不信感を抱かれる可能性があるのです。

動画内容と字幕の不一致が離脱の原因に

自動生成された字幕の内容が動画の実際の内容と一致していない場合、視聴者にとって大きなストレスとなります。特に、音声が聞き取りづらい場面などでは字幕が頼りですが、その字幕が誤っていると、正確な情報が伝わらずに視聴者の離脱を招いてしまいます。

動画を好んで利用する視聴者は、短時間で正確な情報を求める傾向が強いです。字幕が不正確な動画は、視聴者に時間の無駄と感じさせるリスクが高く、視聴者の短期離脱は動画の再生回数や評価にも悪影響を与える可能性があります。

ブランドイメージの低下

自動生成された字幕の誤りや不備は、視聴者の目にそのまま映ります。企業の公式動画やプロモーション動画で字幕に誤りがあると、それをそのまま企業の姿勢と結び付けて判断する視聴者もいるでしょう。

不正確な内容を含む字幕が表示されているだけで、「細部への配慮が足りない企業」とみなされる恐れがあるのです。ブランドイメージの低下を避けるためにも、正確な字幕が求められます。

自動字幕の落とし穴:誤訳による企業イメージダウンのリスク

YouTubeの自動字幕にはさまざまなメリットがありますが、その反面、企業が公開する動画においては思わぬリスクを引き起こす可能性があります。特に、真面目な内容や専門的なトピックを扱う場合、自動生成字幕による誤訳や不自然な表現は、視聴者の信頼を損ない、ひいては企業イメージを損ねる要因となります。不正確な字幕のせいで「細部への配慮が足りない企業」といったネガティブな印象を与えてしまうこともあるでしょう。

また、国際市場向けのプロモーション動画の場合、文化的背景を無視した自動翻訳によって、単なる誤訳では済まされない事態に陥ることもあります。かつて、ある企業の動画で自動生成された字幕が、誤訳により差別的と捉えられたケースもありました。こうした事態を防ぐためにも、字幕の内容には細心の注意を払う必要があるのです。

実際、真面目な内容であればあるほど、字幕のクオリティは企業の姿勢を反映したものと捉えられやすいです。「内容は良いのに字幕が残念」と思われないためには、YouTubeの自動生成字幕に頼り切らず、必要に応じて手動で字幕を修正したり、プロに外注したりといったことを検討した方がよいでしょう。