インタビュー、会議、講演会などの文字起こしにおいて、音源の『音質』は重要な要素です。

音質が悪いと、AI文字起こしツールでは認識精度が低下し、手作業での修正に多くの時間を要します。これは文字起こし業者に依頼する場合でも同様で、音質が悪いと追加料金が発生したり、依頼を断られてしまう可能性すらあります。

実際、多くの文字起こし業者は、音源のノイズ除去や音質改善を推奨しています。なぜなら、クリアな音声データは、AI、人手を問わず文字起こしの精度と効率を飛躍的に向上させ、結果的に時間、費用、そして最終的な成果物の品質、その全てにおいて大きなメリットをもたらすからです。

そこでこの記事では、文字起こしを始める前に実施したい、音声データの音質を改善・ノイズを除去するために役立つ無料アプリやツールをご紹介します。「文字起こしのコストが想定より高額に…」といった事態を避けるためにも、事前に音源の「音質」をチェックし、可能な限り改善しておくことを強くお勧めします。

音質改善のポイント|なにをすればいい?

1. ノイズの低減

音声データに含まれるノイズは、文字起こし精度を大きく低下させる要因の一つです。特に、以下のようなノイズは文字起こしの妨げになりやすいです。

  • 環境ノイズ: 周囲の騒音(車の音、人の話し声、空調の音など)
  • ハムノイズ: 電源由来のブーンという低い音
  • ホワイトノイズ: サーッという高周波のノイズ

改善方法:

  • 録音環境の見直し: できる限り静かな環境で録音する。
  • マイクの選択: 周囲の音を拾いにくい指向性マイクを使用する。
  • ノイズ除去ツール: ツールを使ってノイズを除去する。

2. 音量の最適化

音量が小さすぎると、音声が聞き取りにくくなり、文字起こし精度が低下します。逆に、音量が大きすぎると音が割れてしまい、やはり聞き取りにくくなります。

改善方法:

  • 録音時の音量調整: 録音時に適切な音量レベルに調整する。ピークレベルがクリップ(音が割れる)しないように注意する。
  • 音量調整ツール: ツールを使って音量を調整する。

3. 音声の明瞭化

音声がこもっていたり、不明瞭だったりすると、文字起こしが難しくなります。

改善方法:

  • マイクの位置: マイクと口の距離を適切に保つ。近すぎると息の音が入ったり、遠すぎると音が小さくなったりする。
  • イコライザー(EQ): 音声の周波数バランスを調整するツール(イコライザー)を使って、音声の明瞭度を高める。特に、人の声の周波数帯域(数百Hz〜数kHz)を強調すると効果的。
  • 高域強調: こもった音は高域の成分が不足していることが多いので、高域を少し強調すると明瞭度が改善することがあります。

以上のことを注意して音質改善をしてみましょう。紹介する各ツールは一般的にほとんどのアプリに含まれている基本的な機能で実現可能です。それでは下記で「無料で使える音質改善アプリ・ツール」を紹介します。

無料で使える音質改善アプリ・ツール10選

文字起こしの精度を上げたり、料金を抑えたりするためには、音源の音質を良い状態にすることがポイントです。文字起こしサービスに音源を送信する前に、自身でノイズの除去などをしておくことで、より正確な文字起こし結果を得られる可能性が高まります。

ここでは、文字起こしやテープ起こしの精度に役立つ、音質改善に役立つオンラインWebサービスやソフト・アプリをご紹介します。どれも完全日本語対応しているため安心してご利用可能です。

音質改善Webサービスおすすめ2選

Webサービスの特長はブラウザ上で使えることです。スマホやパソコンにアプリを入れなくても気軽に利用できます。

MyEdit

公式サイト

MyEditは、簡単かつ効果的に音声ファイルのノイズを除去できる、便利なオンラインツールです。無料で利用でき、インストールも不要です。音声ファイルをアップロードするだけでAIが自動で音声中のノイズを除去してくれるので、誰でも気軽に試すことができます。

音質改善に関する機能が特に充実していて、風切り音や周りの雑音などを自動的に感知して除去してくれます。また、ピッチの変更も可能で、話している人の声が強調されるように音質を変化させるといった使い方もできます。自動で音声のみを強調してくれる機能もあるので、サクサクと作業できるのもうれしいところです。

ASPOSE

公式サイト

音源をアップロードすると、自動的にノイズ除去をしてくれるシンプルな無料サービスです。複雑な機能はなく、後ろに聞こえる雑音を除去する機能に特化しているのが特徴です。アップロードして実行ボタンを押すだけですので、面倒なことをせずに音質改善だけをしたい方におすすめです。

音質改善ソフト・アプリおすすめ8選

インストール型のアプリケーション(ソフトウェア)は、オンラインツールに比べ高機能なものが多くその分操作性も複雑になります。オンラインサービスでは、思った成果が得られなかった場合は以下の音声編集ソフト・アプリを試してみてはいかがでしょうか。

使いやすく効果の高いソフトやアプリを8つご紹介しますが、どれも日本語に完全対応していますので、すぐに使い始められるでしょう。

WavePad音声編集ソフト

公式サイト

音楽の編集をすることができる高機能のソフトです。ノイズ除去の機能としては、自動で音声と雑音を判別し、雑音だけを消してくれます。また、話声が小さかったり音質が悪かったりしても、自動修正して聞き取りやすくする機能もあります。

トリミングやカット機能もあるので、不要な部分をカットして音源の容量を小さくすることも可能です。たくさんのファイルをまとめてアップロードして編集することも可能なので、大量の音源があるケースで特に効果を発揮するでしょう。

Audacity

公式サイト

他のソフトに比べて、処理スピードが速いのが特徴です。ポップノイズや風切り音などのノイズを除去する機能がありますし、特定の音域を強調することも可能ですので、話声の強調がしやすいです。

また、操作のやり直しが無制限にできるため、いろいろ試して一番聞き取りやすい音源を作れるのもメリットです。複数のファイルをアップロードして同時に確認することも可能なので、スピーディーな作業を求める方におすすめです。

Adobe Audition

公式サイト

信頼と実績の点でトップレベルのAdobeが提供する音声編集ソフトです。エラーにより音声が聞き取りづらくなっている部分の修復や、ノイズの自動除去、指定音域の調整などプロユースレベルのソフトとなっています。しかも実行速度が速いですし、処理前後の比較ができるためスムーズな作業が可能となります。

音楽編集もできるほどのクオリティですので、より高度な機能を求める方におすすめです。無料で扱える日数に期限があるため注意しましょう。

Filmora

公式サイト

動画編集ソフトとして、非常に大きな実績を挙げているソフトです。初めての方でも使いやすい編集画面や簡単な操作内容が特徴で、音声編集にも適しています。自動的に音声のみをクリアにして、雑音や背景に流れる音楽をカットしたり、音域を調整して話声を強調したりできます。

たくさんの解説動画やサイト記事がありますので、初めての方でもいろいろな機能を使いこなせるようになるはずです。

AudioFix

公式サイト

スマホで簡単に音質改善ができるアプリです。スマホで録音した音声をそのままアプリの中で編集でき、風や周りの雑音などを自動的にカットしたり、全体的にクリアな音質に変えたりする機能が充実しています。

また、音源自体の音量が低い場合に、ボリュームを底上げしてくれるのも便利な機能です。特にスマホで録音をした方には、スムーズな作業を約束する優れたアプリと言えるでしょう。

VideoProc Vlogger

公式サイト

ビデオ編集アプリなのですが、音声編集の機能も優れているため、音質改善のために使うのもおすすめです。音声の分離機能が特に優れていて、話声と雑音、もしくはバックグラウンドミュージックなどを分離できます。

また、複数のオーディオファイルを結合したり、逆に長いファイルを分割したりできるので、文字起こしを依頼したい部分だけのファイルを作れて便利です。さらに、速度変更も可能で、「早口で話しているところの速度を下げて分かりやすくする」といった使い方もできます。

Lexis Audio Editor

公式サイト

手動で細かな音質の調整ができるアプリです。ノイズがある音域を下げて、人の話の音域を上げることで音声を強調することができます。かなり細かな設定ができるのが強みで、人や状況によって異なる音域の違いにも対応でき質の高い音質改善ができます。

クリアボイス機能というのもあって、自動で人の声だけをはっきりさせてくれます。声のみの抽出機能もあり、音楽などが後ろで流れている音源で重宝します。

VOCPLUS

公式サイト

AIを用いてノイズ除去をしてくれるアプリです。特に面倒な操作もなくシンプルに使えるのがメリットです。リアルタイムでのノイズキャンセルができるので、結果がすぐに確認できます。処理前後の違いを比べられるのも便利で、提出前のチェックに役立てられるでしょう。

トリミングツールも用意されていますので、不要な部分をカットする必要がある時もこのアプリで完結させられます。

プロでも音質が悪いと文字起こしが難しいの?

AI文字起こしは、条件が良ければかなり正確に文字起こしをしてくれますが、音質が悪いと途端に精度が落ちてしまうという弱点があります。その大きな原因は、音源自体の品質にあります。

例えば、話し手の声が小さく聞き取りづらい音源はもちろん、音量が十分でも雑音が大きい音源はAIにとって大きな障害となります。喫茶店や街頭でのインタビューなど、周囲の騒音が混入しやすい環境で録音された音源は、AIの文字起こし精度を著しく低下させます。

また、狭いホールなどで反響音が強く出ている場合も、音声が不明瞭になり、正確な文字起こしが困難になります。さらに、複数人が同時に発言し、声が重なり合っている状況も、AIが苦手とする典型的なケースです。

一方、熟練の文字起こしプロフェッショナルは、このような悪条件下でも、資料との照合、話者の識別、文脈の把握など、総合的な判断力と高度な聴き取りスキルを駆使することで、ある程度の品質を確保します。しかし、プロでも音質が著しく悪い場合は、聞き取りに苦労し、精度が低下したり、作業時間が大幅に増加したりすることは避けられません。

音質が悪いと料金が上がる理由

音質が悪い場合、AI文字起こしサービスでは、基本的には料金は変わりません。しかし、出力される文字起こしの精度は著しく低下します。そのため、後で大幅な修正が必要になり、結果的に時間と手間がかかってしまうことがあります。

プロの文字起こしであれば、音質の悪い音源でもAIに比べて高品質な原稿にできる可能性が高いですが、その分料金が高くなる傾向があります。これは、話者が録音機器から遠い、雑音が多いといった問題を抱えた音源の場合、何度も聞き直しが必要になり、作業時間が大幅に増加するためです。作業時間の増加は、そのまま人件費の増加に繋がり、結果として料金に反映されます。また、プロでも音質が極端に悪い場合は、聞き取れない部分が出てきてしまうため、100%完璧な文字起こしは保証できません。高単価は、品質保証の対価ではなく、あくまでも作業に要する時間と労力に対するコストなのです。

まとめ:文字起こし前に音質改善をするのがおすすめ!

インタビューや座談会の音声・動画データの文字起こしを依頼する際は、事前に「音質改善」をすることで実はお得になるかもしれないということをご紹介しました。

音質を改善することで、文字起こし(テープ起こし)を依頼した際に「音質が悪いことを理由に料金が上がる」可能性を減らせるからです。

是非この記事の「音質改善おすすめツール」を参考にして、音質改善をし少しでも文字起こし費用を安くしてみてください。

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