パワハラ、いじめ、不倫・・・といった、なかなか証拠が掴みにくいことにおいて、音声録音はとても重要な資料となります。

近年スマホの録音機能も大変優秀になり、綺麗に取れるようになりましたが、前述のような証拠として使用するなら、より音質は良い方がいいです。

その場合は、スマホよりもICレコーダー(ボイスレコーダー)の方が優れています。

■ポケットの中で撮った録音データは裁判の証拠として有効

「裁判で会話の録音を証拠として使用したいけど、こっそり録音したものだから認められるか心配」という声をよく聞きます。

相手に内緒で録音している、という後ろめたい気持ちから、そのように考えてしまう方も多いのではないでしょうか。

結論から言ってしまうと、相手に内緒でこっそりと録音した会話音声も、裁判の証拠としてしっかりと認められます

ただし、録音した会話の一部だけを切り取ったものは証拠として不十分になってしまうので、録音した会話の全てを提出することをおすすめします。

ただし、あらかじめ録音が禁止されている会議や話し合いなどを録音したものは、その事前に決められた「録音禁止」というルールに違反しているとして、証拠として認められないというケースも実際にあるので、注意が必要です。

■裁判の証拠として提出用の会話を録音する4ポイント

裁判の証拠として提出するために会話を録音する際には、以下の4つのポイントを押さえることが大切です。

  • 1.質の良いボイスレコーダーを使用する

会話を裁判で証拠として使用するためには、その会話内容がしっかりと明確に聞き取れる状態で録音する必要があります

特に、相手に気づかれずにこっそりと録音する場合は、かばんやポケットの中に入れなければなりません。

なので、ボイスレコーダーの中で高性能なICレコーダーを使用することをおすすめします。

  • 2.録音環境を整える

いくら性能の良いボイスレコーダーを使用したとしても、がやがやとした環境の中では、その性能を発揮することができません。

そのため、会話を録音する際は、出来る限り雑音のない静かな部屋が一番適しています。

しかし、なかなかそういった環境を整えるのは難しいことも多いでしょう。

環境音などが入り込みやすい野外や車中での録音を避けたり、オープンスペースのカフェや居酒屋での録音は控えたりする程度の注意だけでも、比較的きれいに録音ができます。

出来る範囲で、あまりにぎやかではない室内や隣の席と少し離れている飲食店を選ぶことも、念頭に置いていてください。

  • 3.会話する内容を事前に考えておく

せっかく会話を録音しているのに、証拠となる話ができなければ意味がありません。

そのため、どのように会話を進めていけば、証拠となるような発言を引き出せるのか、事前にしっかりとシミュレーションしておくことが大切です。

ただし、そういったことに慣れていない方があまりにこまごまと設定してしまうと、相手に不信感を抱かせ、録音に感づかれる可能性があります。

話の流れの大枠やキーワードなどを決めておくくらいでも良いでしょう。

  • 4.会話のテンポに注意する

会話を録音する際は、後でその録音した音源を聞く時に聞き取りやすいように、少しゆっくり目に話すことを意識しましょう。

特に、感情的になると早口になりがちなので、注意が必要です。

文字起こしをする際にも、早口だったり大声すぎるもの、逆に小声すぎるものはうまく書き起こせない可能性があります。

自分が何を言ったときに、相手がどう返してきたかという話の流れも重要のため、自身はゆっくりめに話すことに気を付けましょう。

また、相手の話していることがはっきり録音できるように、相手の会話に自分の会話をかぶせないことも重要です。

■バレにくいボイスレコーダーの選び方

一口にボイスレコーダーと言っても、さまざまなタイプが存在します。

前述の通り、自分と相手の対話の場合は高性能なICレコーダーがおすすめですが、それ以外の目的で録音を行いたい場合は、その目的に見合ったタイプのものを選ぶことが大切です。

  • ・浮気の証拠用

パートナーの浮気の証拠用として、浮気相手との会話を録音するのであれば、かばんの中などに忍ばせやすい、小型かつ薄いタイプがおすすめです。

引用元:SONY ICD-TX660

重さがあると相手に気づかれてしまう可能性があるので、軽量のものを選ぶことがポイントです。

小さいながらもかなりクリアに録音できる商品も多数展開されており、中にはノイズキャンセリング機能を備えたものもあります。

  • ・モラハラ・パワハラの証拠用

モラハラやパワハラの場合、会話を録音していることがバレると、相手を逆上させ、被害が大きくなる可能性があるために注意が必要です。

そんな時に活躍するのが、腕時計型やペン型のボイスレコーダーです。

引用元:キヨラカ株式会社 ペン型ICレコーダー「ペンボイスR」

所持していても特に違和感を抱かせない形状をしているので、オフィス内でのパワハラ対策にも非常に有効です。

見た目だけでなく、きちんとボールペンとしても使用できるタイプもあります。

  • ・長時間の話し合い用

録音時間が長時間に及ぶことが見込まれる場合は、バッテリーが長持ちするタイプや最大録音時間が長いタイプを選ぶのがおすすめです。

引用:オリンパス ICレコーダー Voice-Trek V-873

SDカードなどの外部メモリーに対応したレコーダーを選べば、長時間の録音にも十分耐えることができるでしょう。

  • ・いじめの証拠用

お子さんのいじめの証拠を集めるのであれば、子どもが操作しやすいものを選ぶのがポイントです。

あまりに仰々しいと子どもでもレコーダーに気が付くので、キーホルダー型やペン型など、擬態できるものであるとなお安心です。

■ICレコーダーのイチ押し機能

ICレコーダーによっては、録音機能以外にも、さまざまなお役立ち機能を備えたものがあります。

  • ・ノイズキャンセリング機能

ノイズキャンセリング機能とは、録音時の周囲の環境音などを低減してくれる機能です。

レコーダーの中には、衣服のこすれる音を抑えてくれるものもあるので、ポケットの中に忍ばせたい時などに重宝します。

  • ・感度調節機能

感度調節機能は、音声の入力レベルに合わせて、感度を自動で調整してくれる機能です。

この機能が付いていると、急に声量が大きくなった時でも、録音した音声の音割れを防ぐことができます。

  • ・外部メモリー対応

SDカードなどの外部メモリーに対応しているものを使用すれば、多くのデータを保存できるほか、カードによって録音内容を分類することもできます。

外部メモリーと言ってもいろいろあるので、自分自身の持っているデバイスとの関係も含めて、使い勝手の良いものを選ぶことをおすすめします。

  • ・複数のモード

モノラルモードやステレオモードなど、複数の録音モードを備えているレコーダーもおすすめです。

1対1で話すときはモノラルモードで十分ですが、複数人の会話を録音する場合は、ステレオモードが付いているレコーダーのほうが、録音音声に立体感が出て、誰が話しているのかがわかりやすくなります。

■状況に適したICレコーダーを使用しよう

高性能なICレコーダーと言っても、全てが高価なわけではありません。

中には安価で性能の良いICレコーダーもあるので、きちんと性能面をチェックしながら、レコーダーを選びましょう。

  • ・レコーダーのサイズや重量
  • ・内蔵メモリー容量
  • ・連続(最大)録音時間
  • ・ノイズキャンセリング機能
  • ・スマートフォンやPCと連携できるか
  • ・充電方法

以上の点に注目して、自分の目的に合ったものを選ぶと失敗しにくいでしょう。

会話は重要な証拠となります。

せっかく録音しても聞き取れない、文字起こしもできないなど、無駄にならないように気を付けましょう。