医療系文字起こしを依頼する前に知っておきたいポイント

医療現場では、録音された音声を文字に起こすニーズは少なくありません。

新薬の説明会や学会発表、患者さんのインタビュー記録など、文章として残して共有すべき音声データが多く存在します。

ただし、医療分野の文字起こしには専門用語が頻出し、個人情報も含まれるため注意が必要です。そのため、依頼前には注意すべきポイントをしっかり押さえておく必要があります。

この記事では、医療系音声データの文字起こしを業者に依頼する際に知っておきたいポイントとして、具体的な利用シーンから料金相場、業者選びの基準、依頼時の注意点などを詳しくお伝えします。

医療系文字起こしが必要なケース

医療・ヘルスケア分野において、音声データを文字化する場面はさまざまです。

• ・新薬説明会 / 製品発表の記録
• ・学会 / シンポジウムの音声記録
• ・医療従事者インタビュー
• ・患者・家族の体験談や意見
• ・院内会議・カンファレンス議事録

おもにこのようなケースがあります。以下、各ケースについて、文字起こしの活用ポイントや注意点を解説します。

新薬説明会・製品発表の記録

製薬会社による新薬説明会や医療機器メーカーの製品発表会では、専門家による詳細な説明や質疑応答が行われます。これらの内容を正確に文字起こししておくことで、後日社内資料や議事録、報告書として有効に活用できます。

学会やシンポジウムの音声記録

医学学会の講演やシンポジウムでは、最先端の知見や症例報告などが議論されます。そのため、内容も専門的になることが多いです。録音データを文字に起こしておけば、内容の精査や論文執筆時など、さまざまなシーンに参考資料として役立ちます。

医療従事者へのインタビュー記録

医師や看護師、研究者などを対象にしたインタビュー調査では、インタビュー内容を文字起こしすることでデータ分析や記事作成等に活用できます。現場の声を正確に文章化することで、より説得力あるレポートを作成できるのが特徴です。

患者・家族の体験談や意見の記録

患者さんやご家族へのインタビューや座談会の記録は、医療サービスの改善や広報活動にも重要な役割を果たします。テキスト化しておけば、内容の検証や共有が必要なときに便利です。

院内会議・カンファレンスの議事録作成

病院内で行われる症例検討会やカンファレンス、各種委員会の会議音声も、正確に文字起こしする必要性は高いです。発言の一字一句を正確に文字起こししておくことで、正確な議事録を作成できるほか、情報共有や医療事故の防止にもつながります。

医療系文字起こしの料金相場と業者選びのポイント

医療分野の音声データを専門業者に文字起こしを依頼する場合、最初に気になるのは費用と依頼先の選び方ではないでしょうか。ここでは、医療系文字起こしの料金相場や業者の選定時に押さえておきたいポイントについて具体的に解説します。

医療系文字起こし業者の「料金相場」の目安

文字起こしサービスの料金は、おもに音声の長さ（分単位）や文字数によって決まります。一般的な相場は、1分あたり200円から300円程度です。たとえば60分の音声データであれば、全体で1万～2万円前後になるケースが多いと言えるでしょう。

平均的には13,000円前後で対応する業者が多い傾向にありますが、安価な場合は1万円未満、高い場合は2万円を超えることもあります。

料金は音源の音質や話者の話し方、納期などにより変動します。たとえば、音声が不明瞭だったり、複数人が同時に話したりする音声では、作業の負担が増すため追加料金が発生する業者がほとんどです。

サービス内容	料金相場	標準納期	備考
一般的な文字起こし	1分 200～300円	3～7営業日	60分で約1万～2万円
医療系専門プラン	1分 330～400円	3～5営業日	例：東京反訳＝1分400円（中3日納品）、専門性による追加料金あり
特急納品・追加オプション	業者ごとに異なる	最短当日～翌日	音質・人数・専門用語の多寡・指定納品形式で追加料金発生

文字起こし外注の料金相場を徹底比較！おすすめ業者と選び方

医療系文字起こしの「業者選び」のポイント

料金相場を踏まえつつ、どの業者に頼むかを検討する段階では、価格以外の比較ポイントにも目を向けましょう。医療系の文字起こしを安心して任せられる業者を選ぶために、以下の点をチェックしてください。

• ・医療分野での実績 / 専門スタッフの有無
• ・情報管理 / セキュリティ体制（NDA、Pマーク、ISMSなど）
• ・納期対応力（急ぎ・大量対応可否）
• ・希望する納品形式 / オプション対応
• ・追加サービス（要約、多言語など）への対応可否

まず、医療分野での実績や専門知識への対応力があるかを見極めます。依頼する内容に精通したスタッフが在籍しているかどうかや、専門用語や略語にも正確に対応できるかは重要な判断材料です。医療機関や製薬企業からの受託実績があれば、信頼性の目安になります。

次に、情報管理やセキュリティ体制のチェックです。医療データは個人情報や機密性が高いため、守秘義務契約（NDA）の締結可否や、プライバシーマーク・ISMS認証の取得状況なども確認しましょう。

納期の柔軟性も重要なポイントです。希望する納期に対応できるかだけでなく、急ぎの場合の休日・夜間対応、大量音源への短期対応なども確認しておくとよいでしょう。特別料金の有無や、どの程度のスピードで納品が可能かによって、スケジュール管理や全体の進行に大きな影響が出ます。

納品物の形式やオプションサービスについても事前に把握しておきましょう。文字起こしデータをWordやテキスト、Excelなど希望のフォーマットで納品できるかや、発言者名やタイムコード挿入など細かな要望にも対応してもらえるかがポイントです。

また、議事録用に要約記事の作成や、多言語対応など追加サービスが必要な場合、そのニーズに応えてくれる会社かどうかも見極める必要があります。

WITH TEAM では医療系の文字起こしに対応可能です

WITH TEAMでは、医療分野向けに専門プランを設けているわけではありませんが、医療系大学や出版社からの案件など、専門用語を含む依頼にも柔軟に対応してきた実績があります。情報セキュリティ面ではISMS認証を取得しており、データの機密保持にも配慮しています。

料金は基本プランで1分あたり120円～と業界内でもリーズナブルで、通常、中1～2日の短納期で納品可能です。なお、内容の難易度によっては、通常料金の約1.2倍程度の追加費用をお願いするケースもあります。

医療系文字起こしを依頼するときの注意点

医療分野の音声データの文字起こしを外部業者に依頼する際は、事前に押さえておくべきいくつかの注意点があります。希望する成果物をスムーズに受け取るためにも、特に以下のポイントを意識してください。

専門用語・略語・資料を事前に共有

医療系の音声には、専門用語や薬品名、略語などが数多く登場します。その場合、依頼時に用語リストや参考資料を一緒に渡しておくとよいでしょう。たとえば、略語の正式名称や英字表記などをリスト化しておくと、ライター側も作業がしやすくなります。

医療分野に詳しいライターでも、不明瞭な専門用語があれば調査に時間がかかります。事前に参考資料を共有すれば、聞き取りミスや誤変換などが減るため、精度の高い文字起こしが期待できるでしょう。

個人情報や機密情報の管理体制を確認

音源データに患者の氏名や病歴などの個人情報が含まれている場合、情報管理について業者と事前に認識を合わせておきましょう。秘密保持契約（NDA）の締結や、プライバシーマーク・ISMS認証の取得状況を確認し、必要に応じて契約書を交わしておくと安心です。

また、社内でのデータの閲覧権限や、クラウド管理時のセキュリティ対策などについてもチェックしておきましょう。信頼できる業者であれば、情報保護の取り組み（例：Pマーク取得やSSL通信の使用等）やNDA対応についてサイト上で明示しています。

文字起こしの種類を指定する（素起こし・ケバ取り・整文）

一口に文字起こしと言っても、仕上げ方には複数の種類があります。

文字起こしの基本の種類は、 発言を一言一句そのまま書き起こす「素起こし」、「あー」「えーと」等の不要な発話や重複語を取り除く「ケバ取り」、話し言葉を文法的に整えて読みやすく文章化する「整文」の3つです。

依頼時にはどの形式で起こして欲しいかを明確に伝えましょう。業者によってデフォルトの起こし方が異なるため、認識違いを防ぐためにも最初に希望を共有しておくことが大切です。たとえば、議事録用途ならケバ取り、記事作成用途なら整文が適しています。

医療系文字起こしにAIを利用する際の注意点

最近では、AI（自動音声認識）を活用した文字起こしツールも広まり、医療系文字起こしの現場でも導入を検討する方が増えています。ただし、AIによる文字起こしにはメリットだけでなく限界もあるため、導入時には以下に述べることに注意しておきましょう。

▼AI文字起こしツールのおもなメリットと限界は以下の通りです。

メリット	限界・注意点
コストを大幅に抑えられる	専門用語や略語の誤変換リスク
作業スピードが非常に速い	音声が不明瞭だと精度が落ちる
議事録や打ち合わせの即時化	文脈理解・自然な整文は苦手
24時間いつでも使える	最終確認・修正は必ず人の目が必要

このようにメリットがある一方で、AIにも苦手なことがあります。特に医療系文字起こしで求められる専門用語や略語、人名・薬剤名などは、AIのデータベースに登録されていないケースが多いため、誤変換や脱字、文脈に合わない変換が発生しやすい傾向があることには注意が必要です。

また、これは医療系に限ったことではありませんが、無意味な相槌や口癖、会話特有の曖昧な言い回しも、そのままテキスト化されることが少なくありません。AIには文脈を読み取って自然な文章に整える力がまだ十分ではないので、特に医療系のような専門性の高いデータでは、AIが文字起こしした原稿をそのまま使うのは非常にリスクの高い行為です。

人によるダブルチェックが不可欠

AIによる文字起こしを行う場合でも、最終的な品質チェックや修正は人間が行うが前提で考えましょう。実際、医療や法律など専門領域の音声は、AIのみで完璧な仕上がりを目指すのは難しいため、人の手で確認・校正する行程が欠かせません。

文字起こしの専門業者でも、音声認識ソフトで下書きを作成したうえで、人間が最終確認を行うというハイブリッドな運用を行っています。医療系の重要な音声データであれば、なおさら専門知識のある人が校正・編集するべきです。

ただ、AIと人力を上手に組み合わせることで、スピードと正確性が両立できるのも事実です。文字起こしの用途や目的に応じて上手に使い分けるとよいでしょう。

まとめ

医療系の文字起こしを外注する際には、事前準備と業者選びが仕上がりの質を大きく左右します。

まずは、ご自身がどのような目的で文字起こしを必要としているのか（新薬説明会、患者インタビューなど）を明確にし、依頼内容を整理しておくことが大切です。料金相場を確認したうえで、専門性や実績、セキュリティ体制に優れた信頼できる業者を選定しましょう。

医療分野で得られる貴重な知見や現場の声を正確に記録することは、今後の医療の発展や業務の効率化にも大きく役立ちます。今回ご紹介したポイントを参考に、信頼できるパートナーを選び、大切な音声記録を最大限に活用してください。