目次
■トランスクリプトとは?
トランスクリプト機能とは、AIによって音声をテキストデータに変える技術のことです。
AIが音声を解析して文字に変換するため、これまで手作業でしていた文字起こし業務の負担が軽減されます。
例えば、
- Microsoft Teams
- Zoom
上記には、トランスクリプト機能が備わっているため、会議の発言をリアルタイムで文字に変換できます。
また、Microsoft 365のWeb版Wordにもトランスクリプト機能が備わっており、ボイスレコーダーやスマートフォンで録音した会話を手軽に文章化できます。
もちろん、トランスクリプト機能を搭載したボイスレコーダーを使えば、対談やインタビューなどの発言をテキスト化することも可能です。
ただし、トランスクリプト機能の文字起こし精度は、
- ・音声の品質や周囲の環境
- ・話者の発音
- ・発声
によって左右されます。
雑音が多い場所での録音・マイクから離れた席からの発言・声が小さい場合など、不明瞭な音声は正確な解析が行えず、文字起こしの精度が下がることがありますので注意してください。
■文字起こしで会議が変わる!トランスクリプト機能のメリット
トランスクリプト機能は、単なる文字起こし作業の効率化にとどまらず、会議の生産性向上やデータの共有促進など、多くのメリットをもたらします。
メリット1:リアルタイムでチェック可能で効率的
人の手による文字起こしは、時間と労力がかかる作業です。
トランスクリプト機能を使用すれば、自動でテキスト化されるため、作業の手間が大幅に削減されます。
リアルタイムで音声を聞きながら文字情報を確認できるので、聞き逃しや誤解を防ぎ、スムーズなコミュニケーションをサポートします。
特にオンライン会議では、音声の聞き取りにくさや通信環境の不安定さが問題になることがあります。
しかし、トランスクリプト機能を活用すれば、そのような状況でも落ち着いて会議に集中できます。
文字起こし後のテキストは、いつでも見直したり修正したりできます。
メリット2:情報共有が容易
会議に参加できなかったメンバーや、後から内容を確認したい場合にも、文字起こしデータがあれば正確な情報を共有できます。
会議内容を記憶が鮮明なうちにテキストをチェックし、タイプミスや聞き間違いを防ぐことで、信頼性の高い議事録の作成へとつなげることが可能です。
メリット3:身体や言語の違いにも影響なし
例えば聴覚に障がいのある方にとっても、文字で確認できるトランスクリプト機能は重要なツールです。
さらに近年では、翻訳機能と連携したトランスクリプト機能も登場しており、異なる言語間でもコミュニケーションが可能になりました。
社会のグローバル化が進む中、翻訳機能との連携は今後ますますニーズが高まると予想されます。
■トランスクリプト機能付きボイスレコーダー2選
文字起こし機能が搭載されたボイスレコーダーは、ビジネスシーンや学習など、さまざまな場面で大きな役割を果たします。
以下では、おすすめのトランスクリプト機能つきのボイスレコーダーを2つ紹介します。
1. AutoMemo S
パソコンソフトで有名なソースネクストが提供する「AutoMemo S」は、クラウド上のAIによる高精度な文字起こしが魅力です。
録音データは自動でクラウドに同期されるため、パソコンやスマートフォンから簡単にアクセスでき、DropboxやOneDrive、Googleドライブとの連携も可能です。
無料プランでは毎月1時間まで利用でき、それ以上の利用は有料プランへの切り替えが必要です。
Microsoft TeamsやZoomとの連携機能も搭載しており、オンライン会議の文字起こしにも最適です。
2.iFLYTEK AI ボイスレコーダー VOITER
VOITER(型番:SR502J)は10メートル離れた場所からでも、全方位くまなく音を逃さずキャッチする高性能マイクを装備し、クリアな音声を録音できます。
音声の文章化だけでなく、ネットワークに接続すれば、AIが文章の流れを読み取って、より正確な文章に修正する機能も備わっており、精度の高いテキストデータを作成できます。
オフラインで録音した音声も、後からインターネットに接続することで文字起こしが可能です。
さらに、800万画素のカメラを搭載しており、動画撮影と字幕作成にも対応しています。
■トランスクリプトが得意な音源・苦手な音源
文字起こしの主な用途としては、
- 会議
- シンポジウム
- 講演
- インタビュー
- 対談
- 取材相手の発言
- 裁判での記録
- カウンセリングの記録
などが挙げられます。
しかし、トランスクリプト機能がこれらすべての用途に完全に適しているわけではありません。
トランスクリプト機能は、音声データをそのままテキスト化する「素起こし」形式が得意です。
このため、裁判記録やカウンセリング記録など、発言内容を一言一句正確に残す必要がある場合に適しています。
一方、会議やインタビューなどは、発言の意図や結論を明確にするために、発言内容を要約したり、不要な情報を省略したりして読みやすい文章にする必要があります。
トランスクリプト機能で作成した素起こしデータは、議事録作成の土台として活用できますが、人の手による手直しが求められるでしょう。
トランスクリプト機能は文字起こしの手間を大幅に削減できる便利なツールですが、その特性を理解し、適切な用途で活用することが重要です。
■AI文字起こしの精度と音声データの関係
トランスクリプト機能を使った文字起こしは、AIが苦手とする音声データの特徴を理解することで、さらに効果的に活用できるでしょう。
まず、音声の品質が文字起こしの精度に大きな影響を与えることを理解することが重要です。
AIは人間のように周囲の状況や文脈を考慮して音声を解釈する能力が不十分です。
音質が低いと正しく判断できず、文字変換の精度が大幅に低下します。
具体的には、以下のような音声データがAIにとって認識が難しく、文字起こしの精度が落ちる可能性があります。
1つ目は、小さい声です。
声が小さかったり、マイクから遠い席からの発言は十分な音量が確保できず、正確に認識できない場合があります。
2つ目は、ノイズが多い音声です。
周囲の雑音や風切り音などのノイズが多いと、音声との区別が難しくなり、文字起こしの精度に悪影響を及ぼします。
3つ目は、反響音が多い音声です。
がらんとした会議室など、声が反響しやすい場所で録音された音声は音がぼやけてしまい、AIがうまく認識できません。
4つ目は、音楽が含まれる音声です。
トランスクリプト機能は会話の文字起こしを目的としているため、ボーカルの歌声など音楽に含まれる声の認識が苦手です。
5つ目は、方言の特徴が強い音声です。
AIは標準語をベースに学習しているため、方言が強い音声は認識精度が低下する傾向にあります。
6つ目は、人でも聞き取りにくい音声です。
不明瞭な発音や早口の会話など人が聞き取りにくい音声は、AIにとってはさらに認識が困難になります。
AIによる文字起こし技術は、まだ発展途上です。
しかし、AIの特性を理解し、適切な音声データを使用することで、その精度を最大限に引き出せます。
録音環境に注意し、クリアな発声を心がけることで、より正確な文字起こし結果を得ることが可能です。
また、文字起こし後の確認や修正も忘れずに行い、AIと協力しながら、効率的な文字起こし作業を実現しましょう。
■精度が高い文字起こしなら専門業者も検討してみて
Web版のWordなどではトランスクリプト機能が無料で利用できます。
まずは試してみて、精度が不十分と感じたら、より高度なツールの検討をおすすめします。
ツールではなく、専門業者が人の手で起こす文字起こしは、ミスも少なく完成度としては安心できるでしょう。
ツールだと、どうしても音質などによって聞き取り間違いやニュアンスをうまく拾いきれないこともあります。
少し作業時間はかかりますが、より質を求めるのであれば、是非文字起こし専門業者への依頼も検討してみてください。